コミティア近いのでまんがを紹介します-後編-
前回ショートショートまんが『あさごはん』の紹介をしました。
本日は2作目のアナザーボイスについて語ります。
手前味噌で自分が描いた作品を説明するのも、妙な気恥ずかしさを感じるものの、このまんがを出したときも結構唐突感あったな、と今になって思えてきたので、ネタバレしないところまで文章化したいと思います。
いきさつみたいなもの
『あさごはん』を描いたときは、短期間でひとつパッケージとして作品出せないかということで、まんがにしたわけですが、この『アナザーボイス』も経緯みたいなところはほぼ同じです。10ページから28ページに増えたのも単純に制作時間がちょっとあったから(『あさごはん』のときは2週間で、今回の『アナザーボイス』は1ヶ月ちょっと)。
とはいえ、描きたいテーマとか中身がなければ、多少時間があったとてそのひと月で作品を完成させるのはいくらなんでも無茶というもので、その辺りの話はどうなのかと言うと、テーマに関して言えば、ずっと前から形にしてみたいものがありました。ただ、それが世間的にはなんとなく重たい内容で、どうしてもセンシティブな描写を表現しなくてはいけないところがあって、自分の中で落とし所がうまく見つからず、なかなか描くことができなかったのですが、このときはちょうどいい期間とタイミング、自身のヤル気みたいなものがうまく噛み合いそうだったため、思い切って描いてみる決心に至ったわけです。
自己肯定感?幸せ?生きる?
率直に言えば、このまんが、明るくて楽しい話ではないです。じゃ暗くてつまんないの?と言われると、そんなことはないですけど(いや、そんなことないと言いたい笑)。元々、僕がやりたかったこととしては、話に出てくる登場人物やいきさつに”共感”できることであって、ストーリーに起伏があってすごい展開がとか…そういうところを狙ったわけではないです。「感動」より「共感」というのが妥当な表現でしょうか。
主人公の女の子は、あまり楽しそうな日々を送っている様子はなく、どこか自己肯定感も低いーー、とこれ以上書くとネタバレになりそうなので自重しますが、そんな女の子が、ある一夜から朝にかけて不思議な体験をするという話です。
物憂げな表情の中にも
当たり前のことを書くかもしれませんが、主人公の表情を描くのには普段以上に神経を使いました。この女の子は口数が少なく、思っていることをほぼ台詞では語らない(語らせたくなかったというべきか)ので、最初から最後までほぼ彼女の表情だけで心理描写を表現しているわけです。
細かい描写には苦労を強いられた一方で、表情を描いている時間が一番楽しかったかもしれません。喜怒哀楽をはっきり出すタイプの子ではないにせよ、微妙な感情の差分を絵で表現していくと、妙に魂が込められていく感があって、ガラにもなくこの子への愛情が制作の終盤に行くにつれて半端なかったです。よく漫画家さんが自身のキャラに並々ならぬ愛着を語る裏方話なんかは有名ですけど、その気持ちがすごくわかった気がする……!
話を展開していきたいという話
今回は28ページの読み切りという形でなんとかひとつの作品に仕上がったわけですが、このまんがで扱ったテーマに関して言うと、結構僕の中では根の深いテーマでして、正直ここから何か新しいモノを産みたいなと思っていまして、続編というよりは、これから本線(?)を作っていく感じでしょうか。
具体的にどういう形で作ろうかは模索中です。またまんがかもしれないし、もしかしたらゲームかもしれない…。やりたい方向性は概ね詰まっているので、また何かしら進捗あれば展開していきたいと思います!
というわけなので
9月3日のコミティアにて偶然立ち寄られましたら、ぜひお手に取ってみてください。よろしくお願いします!
※本作品は、演出上で欠かせないシーンがあって、それをシンガーソングライター珀さんにご協力頂きました。おかげで本作の魅力も段違いに上がっています。ファンの方はぜひチェックください!
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